LinkIcon

TOHOKU VISION 2025

  私たちは震災後の東北の街を具体的にデザインし各自治体、経産省などと協力してアイディア提供を実施していきます。イメージ画像を制作することで(ビジュアライズ)そこにアイディア等具体的な街を再現し、視覚的に訴えることで、これまでの紙に文字で書かれた未来像よりはるかにイメージを提供します。これによって関係各者に、私たちの描く東北の10年後、20年後、30年後のプランを具体的に見せることができるのです。それは高齢者にとってもわかりやすく、もしそのプランに問題があったとしても、実際に街が完成する前に論議することができるのです。たとえば被災地を100年後に世界でもっとも美しい街にしようというビジョンがあります。簡単なことではありませんがそのビジョンや思いが継承されれば、100年後の東北地方は間違いなく世界でも有数の美しい街になっていると思います。日本の英知と民族性を持てば必ず成し遂げられるはずなのです。
では今後、国として何をしなければならないのでしょうか? キーワードは継承です。この国の産業や気力、モチベーションを常にサステイナブルに伝えていけるか、そのことがポイントになってきます。そのことがビジネスとも直結した内容になっていくべきだと思うのです。これからこの東北地方で起こすアクションは、初めての課題に対しての初めての回答です。だから世界中がこの回答を待っている。福島の情報というのは世界の止め様の無い核社会におけるすべてのモニタリングでもあるのです。ここで大切なことは、日本人にとって必要最低限の幸せとはいったいどのようなものかという定義です。例えばおいしいご飯があれば大半の日本人は幸せであるということです。「おいしい」という言葉は「美味しい」に変えられます。おいしいを美しいと現す民族は日本だけです。こういう感性を持っている国なのです。こんな感覚を守るためにはどうしたらいいのか。これを永続的に行うことは今の時代に至っては簡単なようで簡単でないことです。今、日本はおいしいお米をずっと食べ続けられるかどうかの際にいると思います。
 東北地方はそのおいしいお米をつくる日本の幸せバンクです。またお魚バンクでもあるのです。そんな日本人にとってはかけがえのない土地を新たなかたちで再生させることは、日本のヴィジョン創り、幸せ創りでもあるのです。今回、「VISION/TOHOKU2025」としてデザインしている街は、太平洋に面して平野部があり、内陸部にいくにつれ丘になり山になっていくこの地方特有の立地構成です。このデザインを上空から見ると、下図のようになっています。




今回、「VISION/TOHOKU2025」としてデザインしている街は、太平洋に面して平野部があり、内陸部にいくにつれ丘になり山になっていくこの地方特有の立地構成です。このデザインを上空から見ると、下図のようになっています。写真上部が海側。水産エリア、農業エリア,PVエリア居住とエリアごとに分けられ、それぞれに産業を営む機能がもたらされている。

シンプルライフ|美しい暮らしのデザインへ

まず我々は2025年の東北の風景をビジュアル化し仮デザインしました。そこには震災前とは変わらない風景を展開し、これまでと同じように田んぼが広がり、同じようにおいしいお米作りができる土地です。私たちは復興で一番大切なテーマは『土地』と『コミュニティ』だと思います。 かつて故イサム・ノグチ氏が札幌モエレ沼で取り組んだことは、かつてゴミの埋立地だった場所を子どもの公園としてよみがえらせることでした。それも単に公園を造るということではなく、彼の思想は、そこの土地が課されていることは何かを考え、その課題の答えを自然との調和を考えながら地球への彫刻として創り上げたのです。今回の「VISION/TOHOKU2025」はそんな考え方を継承していこうと進められています。 地元の方々はご先祖様から受け継いだ土地を大切にします。先祖から受け継ぎ、代々生活を営んでいた元の土地に戻りたがります。もちろん理解もできます。しかし、ただ戻ることがご先祖様にとって本当に良いことなのでしょうか。ご先祖様が望んでいることは、100年後にもこの土地で新たに何かが生まれ育まれている姿なのではないでしょうか。私たちはそう考えたいのです。それはつまり、皆さんが仮に同じ場所に家が建てられなくとも震災前と表面上は何ら変わらない美しい土地でおいしいお米が作れることです。しかしそこには、見えない部分で様々な環境に配慮された技術が施され、今後、何らかの災害が起こったとしても、可能な限り人の命が救われる都市体系です。

機能的な街の暮らし

 水産エリア、農業エリア、PVエリア、ビジネスエリア居住エリア、 林業エリアとそれぞれの層で分けられ、海から内陸部に入るに従って高くなっています。ちょうど段々畑をイメージしてもらえばわかりやすいかと思います。
 この地方はほとんどが漁業と農業を中心に暮らしています。そこで海の近くには活気ある水産センターを作ります。台地には公園やスポーツ施設を、さらに内陸部には農業エリアを配置します。この農業用水路は堤防としての機能を持たせ、そうすることで水路であり堤防であるという2つの役割を果たせる構造です。
市庁舎やビジネス、商店街を構成するエリアの前にはこの街を支えるそして メガソーラー等のPVエリアを設け可能な限り自立可能な街構成をデザイン化しています。集合住宅エリアの屋根にもソーラーパネルを設置、エネルギーをシェア化するというシェアリングライフコンセプトの検証です。

新しい動線のあり方|シンプルなMobility構想

 この田畑のエリアには農道や水産、PV,住居エリア間を結ぶ道路があります。ここには基本EV(電気自動車など)、モビリティボート(水路や海上遊覧など )などゼロミッションに対応した様々なニュービークルが走ることを想定しています。EV化のはかられた動線には可能な限り信号を設置しないジャンクションを設け新しい動線に配慮した街の構成を考えています。見えない部分のオーガナイズにITを入れ込むことを考え,被災地が未来の日本のグリッド形成の為の実証実験の場としての役割も入れ込むプランです。

ハイパー堤防と風力エネルギー

 水産エリア、港には予期できぬ大津波の対策として10mクラスの堤防と水をテトラトンネルへ通して水を循環させ外に放出する構造をともなうハイパー堤防構想を取り入れます。これらの津波から街を守る取り組みには内外からの専門研究所、大学研究所を各ポイントに設置し,研究と実験を積み重ねた成果を世界に発進していきます。

LinkIcon